きづき

会議は自分から仕掛ける方が良い

>発見

この会議、意味ねえな。そうぼやいたことがみんな少なからずあるはずだ。

小学校の国語の授業じゃないのに、目の前の資料が延々と音読される。

脱線に次ぐ脱線で、本来の議題と違った話題が繰り広げられる。

まったく見当違いな横槍が入って主題がすりかわる。

散々話し合った結果、結論がまとまらず次回に持ち越し。

これら残念な会議には共通点がある。今回はそんな「会議」に関するお話。結論から言うと、残念な会議を無くす方法は「きちんと準備すること」と「主導権を握ることにある。

僕自身、毎回これをパーフェクトにできているかと言うとそうでもないが、意識するようにはしている。ということで自戒も込めて、いってみよー。


きちんと準備する

会議によって目的は変わる

オンラインのミーティングが増えて、会議のハードルは一気に下がった。一方で、会議の質はどうだろう。特に変わらないんじゃね?とか、時間がかからないからむしろ良いですね!なんて声をたまに聞くけれど、はたして。個人的にはオンラインになって会議の「質」は落ちたと感じている。(遅刻する人は減ったかもしれませんが)

距離や時間に縛られずに会議を開催しやすくなったからこそ、事前準備が疎かになりやすいんじゃなかろうか。

Aさん「こんにちは!じゃあはじめましょうかー」

Bさん「わかりました、何からいきましょっか」

Aさん「ではまず、前回お話にあがっていたAのプランについて…」

Cさん「いいですねー」

Bさん「そういえば前回のBプランもよかったですよね!」

なんて会議がスタートしようものなら、気分はだだ下がりだ。ナイアガラの滝だ。これはリアルの対面会議でも一緒。あきらかに準備不足だと感じてしまう。会議にはいつくか種類があるけれど、おおざっぱに分類すると

① 報告や共有のための会議

② アイデア出しのための会議

③ 意思決定のための会議

に分けられる。このうち、今回取り上げたいのは「③意思決定のための会議」。つまり「プロジェクトを前に進めることを目的に、意見を出し合ってすり合わせ、最適な方向性や具体策を決める」ための会議である。

当たり前ではあるけれど、このタイプの会議のゴールは「決めること」。だから、ただ集まってあーだこーだと言い合った結果「ちょっと各々で考えて次回また持ち寄りましょう」で終わってしまうのでは会議失敗だと思う。それならメールやチャットで済ませばいい。


そもそも準備不足じゃね?

日常やプライベートを思い返して欲しい。

例えば、ちょっと急な野暮用で出かけたいけど家族に話をしていなかったケース
「すまん!3時間で戻る!ちょっと野暮用で、帰りにケーキ買って帰るから」

例えば、予定が急に入ってデートをキャンセルするケース
「ごめん!次の日曜には埋め合わせする!前話してた店予約しといたから許して」

例えば、どうしても欲しいアイスをおねだりするケース
「おねがい!来月のおこづかいナシでいいから!チョコのやつだけでいいから!」

いつもはある程度自分のなかで話の目的や落とし所を決めたうえで議論に持ち込むはずなのに、いざ会議となるとその工程を端折ってしまい、深く考えずに提案内容を書面通りに話がち問題。これがいけない。

「今日の会議では○○について議論して、やるかやらないかを決めてもらう。提案したデザイン案を3方向には絞り込む」というように目的やゴールを決めておく。この目的を持たずに会議を進めていくと、話の脱線やいらぬ横槍が入るとその話題につられてしまい、ゴールを決めることができない。

逆に、目的さえはっきり持っていれば、たとえその日に決めたかった案の絞り込みができなかったとしても、決まらなかった理由や次回までのアクションを会議中に決定しやすい。また、目的が明確なら「デザインを何パターン出そうか」とか「この媒体の詳しいプランは次回提案にまわすべき」といった感じで、会議資料や提案書の内容検討にも役立つと思う。

なんだか内容のないグダグダ会議になってしまう、その原因は往々にして準備不足。会議の議題は何で、どれくらいの時間で結論を導き出すか。そのためにはどんな内容や提案にするべきか。これらを整理していないと、議論の答えは見つからず時間ばかりが過ぎていってしまう。最低限「目的=何を決めるのか」と「時間=いつまでに決めるのか」を整理した上で、提案書の作成や会議に望むべきだと思う。

さらに言うと、この「目的=何を決めるのか」と「時間=いつまでに決めるのか」は会議開始時点で参加者に共有されているのが望ましい。参加者の足並みが揃っていないと、結果的にグダグダ会議になってしまうからだ。


資料準備で満足してるんじゃね?

僕たちの仕事でいえば「③意思決定のための会議」はデザインだったり販促やプロモーションの戦略提案の場が多い。その時にありがちなのが、デザインや戦略の提案資料の作成にフルベットしてしまって、会議やプレゼンテーションの内容にまで頭がまわらないパターン。提案資料にもいくつかあって

① デザインやプランだけを掲載した資料で会議を進める
② 企画意図をもとにデザインやプランを詳しく掲載した資料で会議を進める
③ 全体共有用の簡易資料で会議を進め、後の社内共有用の詳細資料を別途渡す

どれも会議資料にはちがいないが①は最悪だ。その場で話はできたとしても、会議終了後にクライアントが振り返った時に意図が伝わらないし、会議に参加しなかった人にとってはその場でどんな話があったのか推察するのも難しい。僕の場合は「最低でも意図説明はつけて企画書にして提案する」を徹底している。

ということで、ロークルーの基本提案書は②のケースが多い。けれどもこれにも落とし穴がある。というのも、会議の場面によっては情報ノイズが多すぎることがあるからだ。こんなことはないだろうか。

机にずらりと座った10名。ある人は会議の進行なんてお構いなしに次々とページをめくる。人の話を聴け!ある人は提案内容なんてお構いなしに金額の確認に忙しそうだ。結局金かよ!おいおい、ちょっと待ってくれって…え?いまその話します?え?それ今日の内容と関係ないんですが…。うーん、、、あるある。

この問題が起こるのも、会議の準備不足のひとつだと思う。資料をつくることに一生懸命になるがあまり、会議当日の参加者だったり進行にまで想像が追いついていないのだ。せっかく頑張ったのに悲しい結果になっちゃう。会議目的・時間の整理や資料準備と同じくらい、会議当日の進行を想像することも大切だと思う。


複数人・複数議題はペライチで議題を整理

ほんと簡単で、A4・1枚でいいので会議の議題と会議時間を箇条書きにしたものは準備しておいた方がいいと思う。5分でできる。なくて良いのは、決めるべき議題がひとつの時、気の知れた相手とのマンツーマンの商談くらいだ。

例えば、パンフレットとフライヤーとWEBのデザイン案やコンテンツ内容を提案しながらそれらを連動させたWEB広告も含んだ広報施策を提案する。想像しただけでゾッとするボリュームの会議だが、こんな風に決めないといけないことが複数あったり、相手方が3名以上の場合こそ議題整理は必須だと言える。そして、議題を整理した紙(あるいはスライド)をもとに、会議開始前に参加者全員で「目的」と「時間」を把握するべきだ。議題や人数が多いということは、それだけ脱線の危険をはらんでいるということだから。

もうひとつ、議題整理をしておくと素敵な特典もついてくる。なんと、その会議で決まったことや持ち越したタスク、次回会議で決めるべき内容をメモすることで簡単に議事録がつくれてしまうのだ。5分あればできる。会議終了後に議事録をまとめて参加者に共有しておくことは、その後の言った言わない問題の予防にもつながるし、参加者それぞれのタスク整理にもつながるのである。うん素敵!準備は会議室で起きている。

そういえば昔、務めていた会社で議事録の作成にめちゃくちゃ苦労した時期があった。会社お決まりのテンプレートに、その会議であった内容を事細かにまとめるという作業だ。意味あんのかコレ?と思いながら1時間くらいかけて議事録を作成していた苦い記憶が蘇ってきた。おえ。ということで、そんな議事録作成にむかついている人にもおすすめの方法だったりする。


主導権を握る

ただ参加してるんじゃね?

つぎに、会議に参加する際の自分のポジションについても考えてみたい。マンツーマンの場合を除き、複数人が参加する会議では自然と参加者ごとに役割分担が決まっているのではないだろうか。会議開始時点で決まっていなかったとしても、進行するにつれて参加者の役割ははっきりしてくる。この時、自分はどんな役割なのか考えたことはあるだろうか。

私はデザイナーだから自分が担当したデザインの説明だけすれば大丈夫。僕はマーケターだから広告戦略の説明はお任せを。俺は営業なんで金の話します。違うそうじゃない、と思う。なぜなら、会議こそディレクションのノウハウを磨く絶好の機会だからだ。あったら便利なスキルだし、後になって実行者である自分が楽になるというオマケもついてくる。そのためのキーワードは「会議の主導権を握る」だ。


会議の主導権を握ると楽になる

どういうことか。簡単にいえば、ただ漫然と会議に参加するより「自分なりの答え」を持って参加した方がよっぽど会議効率が良いということ。仮に会議のなかで逆の意見が出てきて「自分の答え」が覆ってもかまわない。なぜなら「意思決定のための会議」「プロジェクトを前に進めることを目的に、意見を出し合ってすり合わせ、最適な方向性や具体策を決める」タイプの会議のゴールである「決めること」には一歩前進できるのだ。そのためには、自分なりの方向性を決めたうえで議題をひっぱっていくことが求められる。

と文章で書いているとよくわからんくなってきたので、例をあげてみる。

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『お昼どうする問題』

やべえ、金欠だ。ランチ行くにしても500円以下に抑えたい。

そうだな、、、牛丼にしよう。よし、牛丼が最適解!

全員の意見を聞いていたんじゃラチがあかない。なんとしても牛丼で押し通そう。だがしかし、金欠だと悟られるのは恥ずかしいから避けたいところだ。


A「今日の昼飯何食べる?」

B「なんでもええで」

C「僕も何でもいいな」

D「私はパスタがいい!あの店のランチセットにはまってるの」

E「うえ、今日はちょっと二日酔い。さっぱりしたものがいいわ俺」

僕「牛丼がいい。腹が減ってるからガッツリいきたい」


ここはなんとか主導権を握りたいところ。

BとCは特に意見がなさそうなので気にすることはあるまい。問題はDとEだ。

Dはパスタ、Eはさっぱりしたものを主張している。

さて「牛丼」「パスタ」「さっぱりしたもの」の三択である。

多数決?悪くはないが、ベストでもない。それでは全員が納得とはなるまい。

よし、探りをいれよう。なおかつ、牛丼が最適解だとみんなに思ってもらう。

ディレクションモード・オン!


僕「パスタいいね!はまってるってことは結構あの店いってるんじゃね?」

D「うん、実は昨日もいったところー」

僕「じゃあ今日いかなくてもよくね?あそこメニューって週替わりでしょ?」

D「まあ、、、、ね」

僕「牛丼はどうよ。パスタはまた来週一緒に行こうよ」

D「わかったわ」


よし、Dには納得してもらえた。あのパスタ店のランチが週替わりだと知っていた僕の勝利だ。市場調査万歳!確かにあの店のパスタランチは魅力的だが、900円もするから今日は厳しい。


E「ええーでも俺、牛丼なんか食ったら吐くかもしれん。おえぇ」


問題はこいつ、Eだ。けれど僕は知っている。Eが牛丼が好きなことを。そして、お得な情報に目が無いことも。しかも、、、




僕「あの牛丼屋は『おろし牛丼』もある、それならサッパリしてるだろ」

E「え、でもいま肉とか食えへんって」

僕「そういえばあの店、期間限定でクーポンあるよ?今日食べたら1杯無料券もらえるって」

E「まじで!じゃあおろし牛丼でも、まあいっか」


よし、これでEも納得だ。僕は知っている、Eもいま僕と一緒で金欠なことを。

昨日の夜に一緒にあれだけバカみたいに飲んで騒いだからな。仕方ねえ。


A「おれ、うどん食いたい」


は?待て待て。ここでAが主張してきやがった、これは予想外だ。どうしよう、、、っと待てよ。


僕「うどんってどこの?」

A「あの近所のチェーンのとこで良くね。というか30分で会社に戻らないといけないんだ」

僕「(なんで昼飯行こうとかいうんだよコイツ…)」

僕「じゃあ仕方ないな。時間もないしうどんでもいいや(安いし)」

僕「あそこ大盛り無料だし。牛丼がよかったけどガッツリいけるからいいや」

僕「サッパリもしてるし、パスタじゃないけど麺類だし(ちょっと苦しいか)、最適じゃなーい」

僕「ということで、時間優先かつある程度みんなの希望にも近いチェーンうどんやでどう?」

一同「意義なし!」

てな具合である。どんな具合かは知らない。例えがうまくいっているのかも知らない。書いていて疲れてきたからだ。

簡単にまとめると、自分なりの答え=牛丼が食べたい。その提案の真意は金欠だからだった。提案を通そうとそれぞれの主張に対して良し悪しを吟味したうえで、牛丼が最適だと導いてきた。が、別の主張として「うどん」が提示された。これは違う意見であったが、本来そうしたい(すべき)だという提案(金欠なので500円以下のランチがいい)に大筋では外れていない。なおかつ、牛丼よりも他のメンバーの要望に合致している。ということは、この議論の最適解は「うどん」なのだ。肝要なのは、当初意見がブレたのではなく、目的達成のためのベストの選択を導いたことである。ざっつディレクション。


この方向転換は実際の仕事でも言える。例えば当初予定していたフライヤーの提案がLP制作に変わったとしても、目指す効果がより高いのであればそれが正解だ。ディレクションとは主張をどう通すかではなく、最適解にどう導くかだと考えている。そのためにも、会議には「自分なりの答え」をもとに主導権を持って参加する意思が大切なんじゃないだろうか

もちろん全ての会議で主導権を取らなくても良い。他に優秀なファシリテーターがいればその人に頼みたい。楽だから。いち参加者としての会議参加を希望されている場合はそれに従う。楽だから。でも結局のところ、自分が主として制作に関わるプロジェクトの会議では、主導権を握ることでデザインや企画の方向性・精度を高められるなど、最終的に自分にとってもメリットが多いことがある。これは社内外を問わず、クライアントと進める会議であってもだ。

まとめ

ということで、今回は会議についての発見をまとめてみたが、どうだったろうか。少しでも「きづき」がある記事だったら嬉しいなと思う。

自社ブログのルーティン1番手やるぜと啖呵を切ったがまとまって考える時間がなく、どうも浅い内容になってしまったと反省。できらぁ!とノリで安請け合いするべきではないと再発見したのだった。

この記事を書いた人

澤井 裕吾
主な仕事は企画と記事を書くこと。お客様の新しいチャレンジを応援するのが大好き。大雑把な性格に見せかけて意外と繊細らしい。わりと読書家。三度の飯も酒も好き。FUNはキャンプと焚き火。たいてい1人でどこにでも行くし、予定変更や空いた時間も無駄なく楽しめる派。どうぞお誘いください。