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アップデートおじさん

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考えごと

この記事を書いた人
YUGO SAWAI

暑がりな僕にとって最高の季節になってきた。

そろそろかな…とヒートテックを着込んでいたら、暖房のよく効いた部屋での打ち合わせでしたたる汗。

なかなか塩梅が難しい季節ですね、こんにちは。

今回も自由テーマだったので最近の出来事をつらつらと書けばいいか…とのんびりしていた。

気がつけばまた締切を過ぎていて、というか今年も終わりが近づいていて、電車のなかで焦りながら書いています。

毎度すみません。

とてもいい天気だったので、先日足を伸ばして奈良に散歩に出掛けた。

夕方前に訪れた戒長寺(かいちょうじ)というお寺が、人っ子ひとりいなくて最高に良かった。

とても赤い

その後、スーパー銭湯に立ち寄り、ひとっ風呂。

いい感じの気分で「さて髪の毛でも乾かしますか」と思った矢先、洗面台を占拠する若い学生たち。

机の上に広げられた化粧水やら乳液やら、その他見たこともないアイテムがずらり。

美容男子、増えたよなぁと、濡れた髪で順番待ちしていた。



今年の流行語に選ばれた「働いて働いて~」という高市首相の言葉。

ワークライフバランスを捨てるという強い単語だけが切り取られて批判が起きたりした。

少し前に某タレントが会見で話した「時代のアップデートをあまりしてこなかったことを痛感」というコメントが

ニュースのタイトルを賑わせたりもした。

正しさを更新し続けないといけない、世の中の空気。

なんとなく、息苦しい時代になってきたな…と感じる人もいるんじゃなかろうか。僕がそうだ。

そんな時は古典に立ち返るべしということで、本棚から引っ張りだしてきたのは、デカルト『方法序説』。

ちょうど寒くなって読書欲が高まりつつあったので、久しぶりに読み返してみた。

(といってもペラペラなので小一時間で読めちゃうから暇つぶしにおすすめ)

要約すると、デカルトさんはこう考えた。

・どうかな?と迷っちゃったことは基本的にナシの方向で!

・難しいことはできるだけ小さくかみくだいて解決してみるよ!

・わかりやすい問題から考えていくよ!

・最後に見落としがないかきちんと点検しよう!

そんな思考法をもとに「Yes or No」の極端な二元論で導き出されたパワーワードが、かの有名な【我思う、ゆえに我あり】。

非論理的なことが大嫌いな、なんともデカルトらしい考え方だけれど、僕はあんまり好きじゃない。

そもそも曖昧を良しとする人文学が大嫌いで理屈をこねたデカルトと、

結論のない物語が好きで大雑把な僕の趣味が合うわけがない。

ただ、この本の冒頭は結構好きだ。

「良識はこの世でもっとも公平に分け与えられているものである」

と来て、

「わたしたちの意見が分かれるのは、ある人が他人よりも理性があることによるのではなく、

ただ、私たちが思考を異なる道筋で導き、同一のことを考察していないことから生じるものである」

と続く。

「良識」は国語のテスト的には「理性」や「知性」に置き換えてもいいと思う。

デカルトは「あいつは~を知らないからアホや」とか「あいつは常識はずれの愚か者だ」なんて罵らない。

誰しもがみな一様に正しく、たとえ結論が違ったとしても、それは考える道筋が一緒じゃないからだと説く。

だって僕(デカルト)も特別な理性なんて持ってないんだもん、と。

いいじゃん。そういうの、好き。

ふとした瞬間にどんどんアップデートし続けないと時代に取り残されそうな感覚になるけれど、

考え方までOSの更新みたいに一斉に最新にしなくてもいいんじゃないか。


「きわめてゆっくりと歩む人でも、つねにまっすぐな道をたどるなら、

走りながらも道をそれてしまう人よりも、はるかに前進することができる」byデカルトさん

話題に流されて最新であることより、自分の頭できちんと考えていることのほうが、きっとずっと大事なはずだ。


美容に余念のない若者と、アップデートの通知をいつも後回しにしているおじさんが、

鏡の前で同じような顔をして髪を乾かしている。

そうして並んでいるだけで、もう十分、この世界はうまく回っているような気もする。




最近、どうしても仕事の新しい技術や知識習得のための学習コストが頭を過ぎる。

まだまだアップデートすべきだと言う自分と、それはこの先本当に必要か?と問う自分。

そのひとつひとつの取捨選択が、40代以降のキャリアにおいてますます重要になってくる。

ただ、幸いなことにロークルーはチームだ。

僕が苦手なSNSだったり最新のあれこれは、得意な人に任せた方がきっと会社として成長できる。

その要点を共有してもらって自分なりにアップデートし続けながら、

一方で、僕なりに経験してきた普遍的に大切なことを、もっと伝える努力をしよう。

美容男子なんてダセェ、なんて言葉は胸の中にしまって、

慣れた手つきで備え付けの化粧水を顔に塗りたくればいい。

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