STORY
ラインナップがわちゃわちゃしてる
国内金箔生産量のシェア99%を占める金沢市。そんな金箔の街で1975年に創業し、伝統工芸のみならず建築装飾や化粧品など様々なジャンルへ金箔の可能性を広げ続ける「株式会社箔一」さま。そのひとつに1987年から始まった食用金箔事業がある。出展されていた展示会でたまたまお会いした浅野社長がぽろりとこぼした「ラインナップがわちゃちゃしてる」という言葉通り、食用金箔の商品点数はかなり多く、その名称もパッケージも統一化されていない状況にあった。
また、開発・営業・広報それぞれの部署で「どの商品が何用で、誰にどんな提案ができるものか」に対する認識もわちゃわちゃしていた。大好物ですそういうの!(ついでに、ちょうど解禁されたズワイカニも)。善は急げってことで提案をまとめて一路、冬が始まりつつあった金沢へと向かった。
また、開発・営業・広報それぞれの部署で「どの商品が何用で、誰にどんな提案ができるものか」に対する認識もわちゃわちゃしていた。大好物ですそういうの!(ついでに、ちょうど解禁されたズワイカニも)。善は急げってことで提案をまとめて一路、冬が始まりつつあった金沢へと向かった。

01
共通認識を大切に進めるブランディングフロー
事業のブランディング・プロジェクトは、開発・営業・広報など部門を超えて集まった7名でチームを編成して進行することになった。関わる人が増えるほど、事業に対する認識はどうしたって齟齬が生まれてしまう。ワークショップを通して「事業のロードマップ(将来像)」や「事業価値(優位性)」を全員でディスカッションしながら、まずはメンバー間の認識を揃えることからプロジェクトはスタートした。目先の事業課題だけでなく、なぜこの事業に取り組んでいるのか、こうなりたいという未来に全員で目を向けることで、事業に対する解像度はぐっと高くなっていく。
全員の意見を集約した結果、ただ食用の金箔を作って売っているのではなく「金箔を通して食の可能性を拡げる」という方針を事業ドメインに設定したことで、事業の中長期的な展望や展開可能性についても全員で話し合えるきっかけになった。なかには、将来的には食用金箔事業が大きくなって分社化する!なんてチャレンジングな話も出てきたが、あながち夢物語じゃないかもしれない。
全員の意見を集約した結果、ただ食用の金箔を作って売っているのではなく「金箔を通して食の可能性を拡げる」という方針を事業ドメインに設定したことで、事業の中長期的な展望や展開可能性についても全員で話し合えるきっかけになった。なかには、将来的には食用金箔事業が大きくなって分社化する!なんてチャレンジングな話も出てきたが、あながち夢物語じゃないかもしれない。


02
課題をひとつずつ丁寧に紐解いていく
実はプロジェクト開始前にgoogleフォームでアンケートを用意して全スタッフに事前に答えてもらっていた。その結果「顧客と顧客別のニーズに関する認識が人によって違うこと」そして「事業部全体で連携した商品開発・訴求検討・顧客提案の一貫した流れができていないこと」が根本課題だとわかっていた。
箔一は食用金箔のメーカーなので、主要取引先は食品や製菓の問屋になる。ただ「誰が食用金箔事業の顧客か?」に対する答えは、部署ごとにバラつきがあった。問屋と答える人もいれば、ケーキショップやウェディング施設などのエンドユーザーを答える人もいる、そんな状態だった。
さらに、どんどんラインナップが増える&季節ごとに新しい提案を繰り返している状態だったので、じつは営業先の問屋自体に箔一の商品を十分理解してもらえていないのでは?という懸念があった。そのため、最終的なエンドユーザーであるメーカー・量販店・小売店・各種施設に、問屋側から商品を魅力的に提案してもらえていない可能性も危惧された。
商品ラインナップの複雑さの解消、商品ごとの訴求ポイントの明確化、次に誰向けにどんな商品を開発して販売するか?を部門を超えて一貫して検討できる環境の整備。これら3つの課題を解消すべく、ワークショップで全員の意見を持ち寄りながら議論を深めていった。
箔一は食用金箔のメーカーなので、主要取引先は食品や製菓の問屋になる。ただ「誰が食用金箔事業の顧客か?」に対する答えは、部署ごとにバラつきがあった。問屋と答える人もいれば、ケーキショップやウェディング施設などのエンドユーザーを答える人もいる、そんな状態だった。
さらに、どんどんラインナップが増える&季節ごとに新しい提案を繰り返している状態だったので、じつは営業先の問屋自体に箔一の商品を十分理解してもらえていないのでは?という懸念があった。そのため、最終的なエンドユーザーであるメーカー・量販店・小売店・各種施設に、問屋側から商品を魅力的に提案してもらえていない可能性も危惧された。
商品ラインナップの複雑さの解消、商品ごとの訴求ポイントの明確化、次に誰向けにどんな商品を開発して販売するか?を部門を超えて一貫して検討できる環境の整備。これら3つの課題を解消すべく、ワークショップで全員の意見を持ち寄りながら議論を深めていった。


03
一目瞭然な商品ラインナップの体系化
商品ラインナップの整理でポイントになったのが「金の舞」という言葉の立ち位置。事業スタートに際して代表商品である「切り廻し」の商品名として設定されたのち、形状や加工方法が違う商品が増えていくなかで、すべての商品が「金の舞」で一括りにされてきた。ただ、現場では各商品は「金粉」や「アラザン」などそれぞれ違う名称で呼ばれていた。さらに、各商品を分類するためのカテゴリーが設定されておらず「この商品はどんな料理にどう使うものか」「あの商品とこの商品はどう違うのか」が、はた目に見てもとてもわかりづらい状態になっていた。
数ある商品をいったん机の上にすべて並べ、商品ごとの違いを再整理していく。加工や形状の違い、色のバリエーション、味などすべてを網羅的にこまかく書き出し、最終的に「金の舞=箔一の食用金箔事業の名称」としたうえで、新たに商品を分類するための4つのカテゴリーを設定。さらに、各商品ごとに3つの特徴を設けることで「どんな用途のどんな特徴をもった製品か」が一覧で見ても理解しやすいようにラインナップを体系化していった。
数ある商品をいったん机の上にすべて並べ、商品ごとの違いを再整理していく。加工や形状の違い、色のバリエーション、味などすべてを網羅的にこまかく書き出し、最終的に「金の舞=箔一の食用金箔事業の名称」としたうえで、新たに商品を分類するための4つのカテゴリーを設定。さらに、各商品ごとに3つの特徴を設けることで「どんな用途のどんな特徴をもった製品か」が一覧で見ても理解しやすいようにラインナップを体系化していった。


04
効果的なクリエイティブに落とし込む
事業の指針、そして商品の全体像を整理したことで、各種クリエイティブの見直しへと進んでいく。まずは、これまでのブランディングプロジェックトをひとまとめにした「ブランドブック」を作成。プロジェクトメンバーはもとより、社内共有のツールとして活用いただくことにした。さらに、BtoB用の商品として製造現場でも識別がしやすく、お客様にとっても間違いが少なくなるようパッケージをリデザイン。総合カタログや各商品のチラシに関しても、商品ごとの違いが識別しやすく、商品特徴が理解しやすいフォーマットを作成することで、営業先に応じて話をしやすいツールを取り揃えていった。それらをもとに、総合カタログや展示会のブースデザインなど幅広いお手伝いをさせていただいた。そして、それぞれのデザインの評判や施策の結果を都度共有いただきながら、プロジェクトがいったん完了した後も、長いお付き合いのもとブラッシュアップを続けている。
ブランディングと聞くと、いっけん金箔のように華やかなイメージがあるかもしれない。けれど、実際は議論を重ね、整理を行い、方針を共有していく泥臭い作業が大半を占めている。そんな風に膝を突き合わせ、腹を割って話した先に、見た目だけではない本当の意味でのブランディング活動は生まれるし、美味しいズワイガニと日本酒が待っているものだ。
ブランディングと聞くと、いっけん金箔のように華やかなイメージがあるかもしれない。けれど、実際は議論を重ね、整理を行い、方針を共有していく泥臭い作業が大半を占めている。そんな風に膝を突き合わせ、腹を割って話した先に、見た目だけではない本当の意味でのブランディング活動は生まれるし、美味しいズワイガニと日本酒が待っているものだ。






STAFF COMMENT
ブランディング・プロジェクトは参加メンバーの主体性や協力なしには進行できません。箔一の皆さまの前向きな姿勢と議論環境に何度も助けられました。次回はカニとお酒をご一緒したいですね。