きづき

【色考学】1.6%の超難関!色彩商標

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皆さん、こんにちは。今回はちょっとだけデザイン会社らしく色について考えていきたいと思います。


色はデザインに限らず、自然、ファッションやインテリア、食事、パーソナルカラー、占いなどあらゆる事物に通じ、日々の生活の中に溶け込みながらとても大きな役割を果たしています。

色の歴史、色と国と文化、色の由来、色のイメージ、色の可能性などさまざまな観点から考察していける奥深いものです。2003年にアメリカで色彩心理学という分野も誕生していることを考えると、感情、感覚、判断、生体など色が影響を与えうる領域の広さを実感しますね。
身近だけど、当たり前すぎて普段そんなに意識はしない…ここでは、そんな色にまつわる面白い話題を取り上げて、楽しく紹介していきたいと思います。


題してゆるーくはじめる「色考学」の第1弾、張り切っていってみましょう〜!





では、いきなりですが、クイズです!
皆さんは下の配色を見て何を連想しますか?

出典:登録公報(4月4日付)に掲載された日清食品ホールディングスの色彩商標

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答えは…


そう、これは多くの人がご存知の「チキンラーメン」のパッケージの配色です。日清ホールディングスが2022年3月25日付で色彩商標に登録されたと発表しました。そんなわけで今回は色彩商標について取り上げたいと思います。


そもそも色彩商標って?

「色彩商標」————正確には、「色彩のみからなる商標」というもので、2015年4月1日より保護対象に加わった新しい商標の形です。
こちらの商標ですが、輪郭を持たず、ひとつまたは複数の色彩のみからなる点が最大の特徴です。色彩のみなので、図形やロゴ等と組み合わせてはいけないということですね。単色もしくは色の組み合わせのみで特定のブランドを連想できるほど、広く世の中に知られている配色であることが前提条件となります。

なのですが………!2015年〜2022年にかけての出願件数は562件に上りますが、22年4月時点で登録に至ったのは9件のみなのです。割合でいうと1.6%の狭き門ということになります。
他に登録されているものは、トンボ鉛筆や、セブン-イレブン・ジャパン、三井住友フィナンシャルグループ、ファミリーマートなどが挙げられます。これは全て色の組み合わせでの登録となっており、単色での登録は未だ1件もないことを鑑みると、単色で登録に至るのは至難の業と言えるでしょう。


登録第1号は、セブンとMONO消しゴム

最初に登録が認められたのは、トンボ鉛筆の消しゴムとセブン―イレブン・ジャパンの店舗や商品に使われる色の組み合わせです。特許庁はどちらの色も企業が30年以上使っている上に、商品の市場シェアが高く、積極的な宣伝を続けている点などを重視し、登録に至ったようです。加えて消費者の認知度も高いことが登録の大きな決め手となりました。



欧米や中国などでは、日本よりも早く色の商標を認めています。例えばフランスの高級靴「クリスチャン ルブタン」の「靴底の赤い色」も、海外で商標として認められており、日本で商標として出願されているようです。


登録までは茨の道?!

今回、商標として登録された日清HDの配色は、セピア色(C20、M90、Y100、K50)、白色(CMYKいずれも0)、オレンジ色(C0、M55、Y100、K0)の組み合わせ。商標としての配色割合は、上からセピア色約14%、中間部の白色とオレンジ色の組み合わせが約73%、下部のオレンジ色が約13%。中間部の白色とオレンジ色はそれぞれ商標の約2.3%で交互の配置という色彩になります。出願は2018年7月なので、4年越しの登録となりました。その間、2回ほど登録拒絶となっており、商標の要件を満たすよう補正や資料提出などを行ってきた形です。4月4日の登録公報掲載で、2カ月間は異議申し立て期間となっています。

色彩のブランドとしての訴求力は文字よりも直接的ですが、その類似範囲は曖昧にならざるを得ません。今後は、色彩を企業イメージの中心に位置付けてブランド戦略を立てていく企業も増えていくだろうと思います。商標登録を受ければ、不正競争の目的で他社に模倣されるリスクを減らすこともできます。引き続き、今後の動向にも注目していきたいですね。

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